にーちゃんのMake a nice day

小笠原小説:ボニン・ブルー

5日目 約束

「いってきま~す」
「いってらっしゃ~い」
「いってきま~~す、また戻ってくるからね~~~」
父島の岸を離れ、紺碧の海に滑り出したおがまるから、ちぎれんばかりに手を振りながら、叫ぶ。 みんなが叫んでいる。

おがまると並んで走る10艘ほどのボート。ドルフィンスイムでお世話になったミスパパヤの姿もある。 みんなが手を振っている。お互いに大声で叫びながら手を振っている。 中には、東京に戻るのやめておがまるから飛び込めと手でサインする姿も見える。 今日、一緒に帰る予定だったのに、ギリギリで見送り側になる決心をした仲間もいる。 そんな彼等が叫ぶ。
「いってらっしゃ~い」
目頭が熱くなる。
両横を見ても、ほとんどの乗客が手を振りながら泣いている。



「また絶対に、絶対に、島に戻ってくるよ。必ず、きっと!」
心に誓い、流れる涙も拭かずに大きく大きく手を振った。

このボニンブルーの海に会いに。


★この日記風小説は、事実を元にしたフィクションです。写真の人物はストーリーとは無関係です。★
★小笠原の写真は、「旅の風景」にも掲載しています。そちらもお楽しみください。